「批評の文学教育」の出現-文学の授業は感動重視でよいか
向山は、『国語教育』(明治図書)1982年10月号にて、「文学教育においては、『感動』ではなく『分析』の部分こそ授業すべきである」と主張した。
当時、多くの国語教育研究団体は、「『初発の感想』が授業を通して変わり、『終末の感想』において感動が深まる授業がよい」と主張していた。そのため向山は、「国語で育てる力を〈文章を検討する〉力に限定し、言語・表現技術に偏向している」「言語・表現の末端のみにかかわり、文芸の本質である人間の追求がおろそかにされ、〈文章の検討〉のみにとどまっている。人間不在の教育という以外にない」と批判された。
向山は、自ら創り出した「分析批評の授業」実践をもとに
1 授業で深まるのは感動ではない。解釈である。
2 (その解釈に至った)「分析」のしかたを授業すべきである。
と反論した。