「授業の原則十ヵ条」とは、授業を上達させるための原則である。向山が学生運動から得た経験則と、教室や子どもの事実に基づいた現場の目線でまとめられている。向山のロングセラー『授業の腕をあげる法則』(明治図書)で初めて紹介された。
「授業の原則十ヵ条」とは、以下の原則をいう。
第一条は趣意説明の原則である。例えば、「ゴミを拾います」は、やること(行動)だけを言うアマチュアレベルの指示。教師の指示がなければ、行動できない子どもが育ちかねない。これを「教室をキレイにします。ゴミを〇個拾いなさい」とすると、趣旨(目的)が入り、心構えができるようになる。さらに「教室をキレイにしよう。自分でやりたいことをやってごらん」とすると、趣旨だけを伝え、やることは子どもに任せることになる。このような指示ができる教師は、プロレベルの腕前といえる。
書籍『授業の腕をあげる法則』は、大学、教育委員会、企業等の研修のテキストとして採用されたこともあり、100版を超えた。当時、初版5,000部がすぐに品切れとなり、発行半年で2万冊を超えたという。その後も、同著は多くの教師に支持され、中国語、韓国語、英語などにも翻訳・出版された。
現在、『新版 授業の腕を上げる法則』として学芸みらい社から再刊され、Kindle版にもなっている。
Kindle版 https://www.amazon.co.jp/dp/B0BJVDSBRN/
『授業の腕をあげる法則』がこれほどのベストセラーになった要因を、向山は「面白くて」「役に立つ」からだと言う。実際、研究者の理論や理想論ではなく、「授業の上達論」について正面から論じた初めての本であった。
向山の著書は、書店のビジネス書コーナーに置かれることも多い。